―
「彼女が出来たんだ。こんどお前も一緒に遊ぼうぜ!」
Aは先輩の昔からの友人である。そのAに彼女が出来たという。
「ああ、いいよ。」
先輩はAの誘いを快く受けた。数日後、そのAの彼女の家で皆で遊ぶこととなった。メンバーは先輩、A、Aの彼女(A子)、その彼女の友達(B子)の4人であった。
皆でA子の家に向かう途中、Aがそっと先輩に囁いた。
「あのB子ちゃんって中々可愛いだろ?もしチャンスあったら行っちゃっていいからな!」
「なんだよ、行っちゃって、って…」
Aの頭の中は昔からこうである。先輩はいつものように軽くAに返事をすると、横目でそのB子を眺めた。ショートヘアの元気そうな女の子だが、自分の好みではなかった。先輩はむしろ、ロングヘアで大人びた印象のA子の方に強く惹かれた。
(ったく、あんな美人どうやって落としたんだよ…。)
Aの本来の好みはB子のような子だ。何人かAの昔の彼女を知ってはいるが、決してA子のようなタイプの子はいなかった。Aには悪いが、はっきり言って不釣合いである。
程なくしてA子の家に着いた。A子のイメージとは裏腹に、お世辞にも綺麗とは言い難い一軒家であった。
「A子さんはここに一人で住んでるの?」
「いえ、おばあちゃんと二人暮らしです。」
「へぇ、そうなんだ…。さすがに一人にしては広すぎるよね…」
先輩は自分のした質問に多少の後悔をした。年頃の女の子が一軒家におばあちゃんと二人暮らし。色々と事情がありそうである。
「じゃあ、おばあちゃんに挨拶を…。」
「……。
あっ、大丈夫です!おばあちゃん、歩けないですし……」
嫌な間だった。
先輩は直感的に、A子は自分の祖母と人を会わせたくないのであろう、ということを感じた。自分自身も複雑な家庭環境の下に育った先輩は、こういう事には至極敏感であった。
「ふーん。じゃあ、さっそく飲もうか!」
先輩は出来るだけ明るい声でそう言った。
つづく
クリックで投票出来ます
人気ブログランキング短期集中更新。