「着いた―」
飛行機が離陸して、時間にして1時間強。スッチーのクオリティーの低さに不貞寝した僕にとってはものの3分。北海道―近い。
「やばいな、びっくりするくらい感慨がないぞ…。」
念願の北の大地に降り立ってみたものの、正直あまり実感が湧かない。
本来なら「しばれるわー」と白い息をつき、白銀の大地を眺めたいところなのだが、
本来なら網走から出所して、数年ぶりのビールを一気に飲み干し、恋人のもとへと向かいたいところなのだが、(幸福の黄色いハンカチ)
なにぶん、
新千歳空港ときたら、僕の住んでいるダウンタウンなんかよりもよっぽど近代的で、自然の「し」の字もない感じで、「北海道に来た」と感じさせるものときたら、そこら中に貼られている「白い恋人」のポスターくらいのものであって。
「とりあえず―」
札幌に向かう。
だが札幌へは過去に一度行ったことがあるので、これまたあまり感慨がないことは分かっている。
そう、
時計台をはじめて見たときのガッカリ度といったら、『はじめて買ったアダルトビデオ、パッケージとは裏腹に、いざ出てきたのはセーラー服着たおばさん』のそれに匹敵するし、
クラークさんは、「すいません、ラフォーレ原宿に行きたいのですが?」と聞いてるのに、「タイシタイシ!!」と妄言を吐いて、あさっての方向を指さしてるだけ。いざ彼を信じてそっちに向かってみれば、思いっきりロシア野郎に拿捕されちゃうというアンビシャスっぷり、
「じゃあ、やっぱりススキノだね」ってことになるのだけれど、ススキノはススキノで、どこからどう見てもジョニーディップにしか見えない僕に向かって、「いい娘つけますよ!」ってひっきりなしに声かけてくる。ジョニーが来日したときの羽田空港で、周りを取り囲んでるような女どもばりに声かけてくる。ああもう、ジョニーが女に困ってると思うのかね、「んじゃねぇ、ヒトミちゃんで! 4回転目、延長はヒトミちゃんで!!」って言うとでも思うのかね、
誠意って何かね!!!! (北の国から)
…
…
あ、そうだ。僕は、
ひとつだけ、札幌に行く理由があったことを思い出した。というか、もともとそのつもりであった。
…
そう、ヒトミちゃん
ではない。
ジンギスカン だ。
以前、一度札幌を訪れた際、ジンギスカンを食べた。地元民に教えてもらった、観光客はけっして行かないような小汚い店だった。
これが 最高にうまい のだ。それはもう、びっくりするくらいうまい のだ。
東京などでは「ラム肉」が流行っているが、そのお店は「マトン」を使っている。本来「マトン」は臭みが強く、なかなか抵抗のあるものなのだが、これがどうしてか、そこではまったく臭みがないのだ。「熟成」という言葉がしっくりくるような、ジューシーかつサッパリした飽きのこない味なのだ。
「ジンギスカン界のチンギスハーンや〜」

と僕が叫ぶのも納得がいくというものだ。(スベった)
札幌に行く理由は、これただひとつだった。だが、唯一にして最大の目的なのである。
北海道旅行初日。
僕は、
うんこを踏み、
スッチーに落胆し、
そしてジンギスカンを食べた。
それ以上のことも、それ以下のこともしていない。
空 と 大地 と おっさん はまだその姿を現さずにいる。
つづく。
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ナンダカンダでここにも行った。

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